« EOS-1D MarkIIIキター | トップページ | メガネを失くした・・・ »

2007年2月25日 (日)

Calmi Cuori Appassionati

Ams25 

今日は久しぶりのふにゃきちブックレビューです。最近、『冷静と情熱のあいだ』を辻バージョン、江國バージョンの順に読んでみました。感想を書きたいなと思っていましたが、どうも言葉が見つからず、同時にカメラの新製品ネタが飛び込んできたので、ちょっと時間が経ってからの感想となります。それでもこの本のレビューを書くのは難しいです。

これはかつて恋人同士だった順正とあおいの物語で、辻さんは順正の視点から、江國さんはあおいの視からストーリーを描いています。このように二人の作家が視点を固定し、それぞれの物語を紡いでいこうとした試みは大成功だったと思います。順正の物語では、あおいは順正の記憶の中の人として語られ、最後まで実際には登場しません。これにより、あおいという人物の細部の特徴は捨象され、中核的なイメージのみがより鮮明に喚起され、あおいってどんな人なのかもっと知りたくなります。あおいの物語における順正も同様です。両方の物語を読むと、順正の記憶の中のあおいと実際のあおい、あおいの記憶の中の順正と現実の順正に出会えます。そして二つの物語には、両著者によって功名に仕組まれた仕掛けがあります。もう二度と会えないと思い込んでいる二人の運命が何箇所かで交錯するのです。しかしこの仕掛けも両方を読まないと分かりません。順正とあおい、二人の物語は交錯しそうになってはまた離れ、それでもある約束に向かって進行し、希望ある余韻を残して終わります。映画化されたりして、何だか大衆小説のような扱いを受けがちですが(僕も実際に読むまでそう思ってました)、純文学としてもっと評価されてもよいと思います。

さて、論文に戻ろうかな(汗)。

写真はアムステルダム。EOS-3, Tamron 28-75mm F2.8, Velvia 100F

|

« EOS-1D MarkIIIキター | トップページ | メガネを失くした・・・ »

コメント

私も冷静と・・・読みましたよ。
なんか、二人の生活があまりに、オサレな感じで、
私には、現実感なかったです。コルクとか。
でも、二人の視点で書かれているのは
面白かったと記憶しています。

投稿: あつみ | 2007年2月25日 (日) 18時47分

あつみさん、
オサレで現実感がない…。たしかに。
特にあおいの物語はそうですよね。場所がミラノで、相手がアメリカ人じゃなきゃこんなことありえませんよね。その意味で場面設定がうまいなあって思います。ただし英語やイタリア語での会話を日本語にしてるから一部無理がありますよね。

投稿: ふにゃきち | 2007年2月26日 (月) 05時13分

私はどうしても江國さんがなぜ辻さんと組んだのかわからないという感情を持ちました。それは初めてそれを読んだときなのでどういう思いでそう感じたのか忘れてしまいましたが、なぜか辻さんのほうには読んでいて感動する気分ではありませんでした。
それは順正のキャラもあったのか・・・でもこの2冊は捨てることなく残してあります(あれだけ引越しを重ねても)。また読んでみるかな

投稿: るるる | 2007年2月26日 (月) 22時34分

るるるさん、
辻さんが苦手って人って結構いますよね。辻さんバージョンは激情型の順正の視点から描いていて、芽実の立場になってみると、かなりひどい言動をしてますから、女性からすると感情移入しにくいってこともよく分かります。僕なんかは順正の気持ちがよく分かってしまうお年頃なので(笑)、辻さんの方にむしろはまりました。江國さんの方から読んでいたら退屈して途中で投げ出していたかもしれません。ぜひもう一度トライしてみてください。

投稿: ふにゃきち | 2007年2月26日 (月) 23時59分

ふにゃきちさんイチオシの秀作なんですね。
実を言うと、個人的に辻氏も江國さんも全く好きでないため、
今まで読む理由が全くもってありませんでした(笑)。
でも今回トライするよい機会が与えられた!!
ぜひとも読んでみます。

投稿: ずこえ | 2007年2月27日 (火) 06時45分

ずこえちゃん、
僕も辻さん、江國さんともに初めて読んだよ。筋書きは辻さん、文は江國さんの方が上手だなあって思った。少しだけストーリーをもらしてしまったので、忘れたころに読むともっと楽しめると思うよ。どちらから読んでも、最初は「?」がいっぱいだと思うけど、読み進めるうちにだんだんと筋が見えてきて、もう一冊を読んだときすべてが分かるよ。恋愛小説でありながらもミステリーっぽいところがあって、それが話を先へ進める原動力になってるとも言えるかな。

投稿: ふにゃきち | 2007年2月27日 (火) 12時06分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/152271/14038053

この記事へのトラックバック一覧です: Calmi Cuori Appassionati:

« EOS-1D MarkIIIキター | トップページ | メガネを失くした・・・ »