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2006年11月23日 (木)

アフター『アフターダーク』

Afterdark_like3_2   

村上春樹の『アフターダーク』を読んだので、リビューをば。ストーリーは浅井エリ、マリ姉妹の妹マリがタカハシという大学生と深夜のデニーズで偶然出会うところから始まります。タカハシはエリの高校の同級生で、以前にマリにも会ったことがあったので、デニーズでマリを見たとき声を掛けたのです。デニーズで食べる価値があるのはチキンサラダだけであるといったような取り留めのない会話の後、タカハシはバンドの練習があるからといって席を立ち、マリはデニーズに残って本を読んでいます。しばらくすると、マリのもとへ、近くのラブホテル・アルファヴィルのマネージャーのカオルがやってきて、ホテル内で中国人の娼婦が暴行を受けて倒れているから、事情を聞いて欲しい(マリは中国語が得意)と頼まれ、一緒にホテルに行きます。暴行犯は証拠を残さずに逃げていますが、物語の中で犯人は白川という男であることが明かされます。また、マリの姉のエリは過去2ヶ月間ずっと眠ったままで、彼女のことは、“視点としての私達”によって語られています。時間の経過(深夜から夜明けに向かって)と供に、エリ、マリ、白川、タカハシのそれぞれの物語が交錯し・・・みたいな話です。

この作品、春樹の長編煮にしては珍しく3人称の視点からかかれています(“視点”としての私達という語り手も出てきますが、その正体は最後まで不明)。ふにゃきちは3人称の視点から語られるストーリーは無味乾燥な気がして、基本的には苦手なのですが、この作品はさすがに春樹、うまーく物語へとのめりこませてくれます。しかし、ミステリー的な要素を多分に含んだ作品にもかかわらず、謎は謎のまま残され、物語は収束せず、オープンエンディッドのまま終わります。読後感は、え、これで終わりみたいな感じです。別に本格ミステリーではないので、犯人の白川がつかまって欲しいとは思いませんが、何だか物足りない感じは否めません。

興味のある方、いつでもお貸しします。お気軽にお申し出ください。

写真は『アフターダーク』をイメージして。これって有名な絵画のはずですが、美術系にはうといので誰のなんという作品か分かりません。

AE-1, FD50mm F1.4, Velvia 100F

論文:Chapter 2, Section 2(18ページ)

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コメント

びっくりした。ふにゃきちさんがモデルに頼んで写真とったのかと思いました(素人的発言・・・汗)
アフターダーク読んでみたいですね、興味あるなぁ。
いつごろの本ですか?

投稿: るるる | 2006年11月23日 (木) 08時57分

るるるさん、
僕はモデル撮影はしませんよ(してみたい気もするけど)。
アフターダークは2004年に単行本として出版され、つい先日文庫になったのです。現在のところ、村上春樹の最新長編小説です。僕は文庫になるまで、存在すら知りませんでした。長編とはいえ250ページほどの小説なので、それほど時間はかかりません。よろしければご一読してみてください。

投稿: ふにゃきち | 2006年11月23日 (木) 09時27分

ふにゃきち殿、
論文のプログレスはやいね!

投稿: イワタカンテツ | 2006年11月23日 (木) 11時55分

イワタ殿、
ページ数は順調に増えているけど、内容からしたら予定よりもいくらか遅れ気味だよ。それじゃまたのちほど。

投稿: ふにゃきち | 2006年11月23日 (木) 21時21分

そうなのです!!3人称であれだけ物語に抑揚を持たせられるのは春樹だからこそ、なんですけど、何かオチも深みも物足りないでしょう?
私は発売当初、貧乏にも関わらず即効ハードカバーを買い、読み終わったあと「1500円かえして~」と泣きました。そのころ、しつこく「ねじまき鳥」ばかり読み返していたこともあり、今時心の傷の原因が美人姉へのコンプレックスって(あるいは自立した妹への)…昔の少女漫画かい、とちょっとショックでしたね。ラブホテルの従業員さんたちやイカレ男、中国人女性の心理描写などには、はっとさせられましたが。むしろ作者が春樹じゃないほうが、素直に面白く読めたのかも。
タカハシは馴れ馴れしすぎる(笑)

投稿: ずこえ | 2006年11月24日 (金) 09時19分

このブログがアップされた頃、ちょうど文庫で読んでいて
今日読み終わったのでやっとコメントできます。
春樹にしてはちょっと物足りなかったなぁという感想です。
白川とこおろぎの素性がもっと知りたかったです。
後半のこおろぎとマリの会話にこの作品の重要なテーマが
表れていたような気がするのですが。
やっぱり超長編か短編がよいなぁ。

投稿: ごんごん | 2006年11月24日 (金) 17時49分

ずこえさん、
『アフターダーク』は以前に忠告されたとおりぱっとしない小説だったね。姉妹が互いにコンプレックスを抱いているって確かに手垢にまみれたテーマだよね。春樹の小説でこの程度だからがっくりしたのか、春樹の小説だからこそ、この程度のものでも最後まで読み通せたのか、よく分からないけど、この内容で1500円だと、1000円くらい返してくれいと言いたくなるよね。(ちなみに最近読んだ小説で金返せと思ったのは村上龍の『空港にて』。短編集だけど途中で投げ出してしまった。)

ごんごんさん、
そうそう、こおろぎと白川のこと、もっと詳しく書いてほしいよね。そして白川とタカハシ、白川とマリ、その他の人々がもっと絡んでほしかった。カフカのように、別々に進行しているプロットが一点に向かって収束していくような展開を期待していたんだどなあ。あとエリが眠る部屋に出てくる透明のマスクをかぶった男って一体何者だったんだろうね?彼が白川と関係あるのなあって思いながら読んでいたけど、そうでもなさそうだし…謎ばかりが残ってどうもすっきりしない話だよね。

投稿: ふにゃきち | 2006年11月25日 (土) 10時01分

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